高所作業に欠かせないフルハーネス型墜落制止用器具。いざ購入・買い替えとなると、種類が多く「どれを選べばいいのか分からない」という声をよく聞きます。金額やデザインだけで選んでしまうと、作業内容に合わず、いざというときに十分な効果を得られない――そんな事態にもなりかねません。
そしていま、多くの現場で見落とされがちなのが「買い替え時期」です。フルハーネスには業界団体が推奨する交換の目安があり、ハーネス本体は使用開始から3年、ランヤードは2年とされています。2022年1月の完全義務化に合わせて新規格品に切り替えた現場では、その多くがすでにこの目安を超えています。見た目に問題がなくても、繊維は紫外線や使用によって確実に劣化していきます。
結論から言えば、フルハーネス選びで押さえるべきポイントは、大きく分けて 「ランヤード」 と 「サイズ(使用可能質量)」 の2つです。この2点さえ正しく選べば、大きな失敗はほぼ防げます。
本記事では、まず見落とされやすい買い替え時期の判断基準を整理したうえで、胴ベルト型との違い、最重要ポイントであるランヤード(ショックアブソーバ)の選び方、サイズ・形状の選定、特別教育までを解説します。新規導入の方にも、買い替えを検討中の方にも役立つ内容です。
【最重要】フルハーネスの買い替え時期はいつか

まず、多くの現場で管理が抜けがちな「買い替え時期」から整理します。
使用期限の目安は「本体3年・ランヤード2年」
墜落制止用器具の使用期限について、法令上の明確な年数の定めはありません。しかし、メーカーで構成される業界団体(日本安全帯研究会)が、自主基準として次の交換目安を推奨しています。
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部位 |
交換目安 |
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フルハーネス本体(ベルト部) |
使用開始から3年 |
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ランヤード・ロープ・ストラップ |
使用開始から2年 |
ランヤードのほうが短いのには理由があります。ランヤードは構造物との接触や繰り返しの使用で摩耗しやすく、傷やほつれが生じやすい部位であるうえ、紫外線によって繊維の強度が劣化するためです。フルハーネス本体より劣化が早く進む傾向があるため、期限が短く設定されています。
カウントは「使用開始日」から
見落としやすい重要な点として、この目安は製造日や購入日ではなく「使用開始日」からカウントします。倉庫に保管していた期間は含まれません。
裏を返せば、使用開始日を記録していなければ、期限管理そのものができません。本体に付いている品質表示タグには製造年月が記載されていますが、これだけでは使用開始日はわかりません。使い始めた日をネームタグ等に記入する運用が、買い替え管理の出発点になります。
一体型か、分離型かで買い替え方が変わる
ランヤードの構造によって、買い替えの考え方が変わります。
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ランヤード一体型:期限の短いランヤードに合わせ、2年を目安に本体ごと買い替え
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ランヤード分離型(交換可能):ランヤードは2年・本体は3年を目安に、それぞれ交換
分離型であれば、ランヤードだけを先に交換して本体は継続使用でき、コストを抑えられます。買い替えを検討する際は、自社の製品がどちらのタイプかを確認しておきましょう。
2022年の義務化に合わせて買い替えた現場は、すでに期限超過の可能性
いま買い替え需要が高まっているのには、明確な理由があります。
2022年1月2日以降、旧規格品(旧「安全帯」表示)は使用できなくなったため、多くの現場が2021年から2022年初頭にかけて、一斉に新規格品へ切り替えました。ここで購入したフルハーネスは、目安である本体3年をすでに超過している計算になります。ランヤードに至っては、2年の目安を2周期分経過していることになります。
「新規格に買い替えたばかり」という感覚のまま使い続けている現場が少なくありませんが、あの切り替えからは相応の年数が経っています。自社の器具の使用開始日を、一度確認してみてください。
年数に関係なく、即座に交換すべきケース
期限内であっても、次のいずれかに当てはまる器具は使用してはいけません。
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墜落を制止した、または墜落と同程度の衝撃が加わった(外観に異常がなくても使用不可)
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始業前点検・定期点検で不備が見つかった
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ベルトの摩耗・切れ・ほつれ、金具の変形・腐食、縫製のほつれなどが見られる
一度大きな衝撃を受けた器具は、見た目に問題がなくても内部の強度が低下しており、次に墜落したときに身体を支えきれないおそれがあります。「まだ使えそう」ではなく「安心して任せられるか」で判断してください。
期限超過は事業者リスクにもなる
法令に年数の規定がないからといって、超過使用が容認されるわけではありません。事業者には墜落制止用器具を点検・整備する義務があり、メーカーや業界団体が推奨する交換目安を認識しながら超過して使わせていた場合、災害発生時に安全配慮義務違反として責任を問われる可能性があります。コストの問題ではなく、管理責任の問題として捉えるべき論点です。
買い替えチェックリスト
次の項目に一つでも当てはまるものがあれば、買い替えを検討してください。
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☐ 旧規格(「安全帯」表示)のものが残っている → 使用不可。ただちに交換
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☐ 使用開始から3年以上経過したフルハーネス本体がある
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☐ 使用開始から2年以上経過したランヤードがある
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☐ 2022年の義務化に合わせて購入し、そのまま使い続けている
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☐ 使用開始日を記録しておらず、経過年数がわからない
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☐ 墜落・落下の衝撃が加わったことがある
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☐ ベルトの摩耗・ほつれ、金具の変形・腐食がある
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☐ 作業者の体格や装備が変わり、使用可能質量やサイズが合っていない
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☐ 作業内容が変わり、ショックアブソーバの種別(第一種/第二種)が合っていない
使用開始日が不明なものは、安全側に立って交換することをおすすめします。経過年数がわからない器具は、期限管理ができていない状態そのものだからです。
【内部リンク:フルハーネス買い替え・交換用品の一覧はこちら】
そもそもフルハーネスとは|安全帯からの変遷
かつて「安全帯」と呼ばれていた墜落防止の器具は、法改正により名称・規格が大きく変わりました。2019年2月の改正で「安全帯」は「墜落制止用器具」へと名称が改められ、経過措置期間を経て、2022年1月2日以降は旧規格品(旧「安全帯」表示のもの)の製造・販売・使用ができなくなっています。現在は、新規格に適合した墜落制止用器具しか使用できません。
そのうえで、墜落制止用器具は「フルハーネス型を原則とする」と定められています。これは、従来主流だった胴ベルト型が抱える安全上の課題が背景にあります。
胴ベルト型との違い

胴ベルト型は腰の一点でベルトを装着する構造のため、墜落を制止した際に腹部や胸部に衝撃が集中し、内臓の損傷や胸部の圧迫といったリスクが指摘されてきました。一方フルハーネス型は、肩・腿・胸など複数の箇所で身体を支える構造のため、墜落時の衝撃を分散でき、身体への負荷が小さくなります。これが「フルハーネス型を原則」とする理由です。
胴ベルト型はもう使えないのか
完全に禁止されたわけではありません。フルハーネス型を着用しても墜落時に地面へ到達してしまうおそれがある低い箇所では、胴ベルト型(一本つり)の使用が認められています。目安となる高さは次のとおりです。
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高さ6.75mを超える箇所:フルハーネス型が必須(全業種共通の最低基準)
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6.75m以下(一般的な建設作業では実務上5m以下):フルハーネス型で地面到達のおそれがある場合、胴ベルト型も使用可
この6.75mという数字には根拠があります。ショックアブソーバの自由落下距離の最大値4.0m、ショックアブソーバの伸びの最大値1.75m、フルハーネス等の伸び1m程度を合計した6.75mを超える高さでは、どんな場合でもフルハーネス型を使わなければならない、という最低基準として定められています。ただし胴ベルト型を使う場合も、旧規格ではなく新規格の胴ベルト型でなければならない点に注意してください。
なお、柱上作業などでは2m以上の箇所からフルハーネス型の使用が推奨されます。
選ぶ前に理解したい「落下距離」の考え方
製品選びの前提として、必ず理解しておきたいのが落下距離です。ここを押さえると、「なぜこのランヤードを選ぶのか」が腑に落ちます。
墜落すると、まず身体が自由落下し(自由落下距離)、続いてショックアブソーバが作動して伸び、さらにフルハーネスやランヤード自体も多少伸びます。これらを合計したものが「落下距離」です。
落下距離 = 自由落下距離 + ショックアブソーバの伸び + フルハーネス等の伸び
安全を確保する大原則はシンプルで、「作業床から地面までの高さ > 落下距離」 の状態にすることです。この関係が崩れると、墜落を制止しきる前に地面へ激突してしまいます。
そのため製品選定は、①作業床から地面までの高さを確認し、②フックを掛けられる位置を確認し、③落下距離が地面までの高さに収まる製品を選ぶ、という順序で進めます。ショックアブソーバには落下距離が表示されているので、それを見て「地面に到達しない製品か」を必ず確認しましょう。
また、フックを掛ける位置は落下距離に直結します。フックは腰より高い位置に掛けるのが基本で、作業床から85cm以上の高さが望ましいとされています。フックの位置が低くなるほど落下距離は長くなり、身体への衝撃も大きくなります。
選び方①:ランヤード(最重要ポイント)
フルハーネス選びで最も重要なのがランヤードです。ランヤードは、フック・ショックアブソーバ・ロープ(ストラップ)などで構成され、フックの数・ロープの形状・ショックアブソーバの種別によって分類されます。順に見ていきます。
ショックアブソーバの種別(第一種/第二種)
ショックアブソーバは、墜落時の衝撃を吸収して身体への負荷を和らげる装置で、第一種と第二種の2種類があります。この違いはフルハーネス選びの核心です。
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項目 |
第一種(Type1) |
第二種(Type2) |
|---|---|---|
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最大自由落下距離 |
1.8m |
4.0m |
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衝撃荷重 |
4.0kN以下 |
6.0kN以下 |
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ショックアブソーバの伸び |
1.2m以下 |
1.75m以下 |
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フックを掛ける位置 |
腰より高い位置 |
足元(腰より低い位置)も可 |
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胴ベルト型への使用 |
可 |
不可 |
選び方の原則は明快です。基本は第一種を選び、腰より高い位置にフックを掛けて使用します。鉄骨組み立て作業などで、やむを得ず足元にフックを掛ける必要がある場合にのみ第二種を選びます。そして、腰より高い位置に掛ける作業と足元に掛ける作業が混在する場合は、両方に対応できる第二種(Type2)を選定します。
ここで誤解しやすいのが、「第二種なら足元にも掛けられて便利だから、常に第二種でいいのでは」という考え方です。これは推奨されません。第二種は第一種よりショックアブソーバの伸びが大きく、落下距離が長くなるため、身体にかかる衝撃も大きくなり、地面に到達するリスクも高まります。足元にフックを掛けられる仕様であっても、腰より高い位置に掛けられるなら必ず高い位置に掛ける、というのが安全な使い方です。
【内部リンク:ランヤード(第一種・Type1)の一覧はこちら】 【内部リンク:ランヤード(第二種・Type2)の一覧はこちら】
フックの数(1丁掛け/2丁掛け)
ランヤードには、フックが1つの「1丁掛け」と、2つの「2丁掛け(ダブル)」があります。2丁掛けは法令上の義務ではありませんが、フックを掛け替える際に、一方を外す前にもう一方を掛けられるため、移動中も常にどちらかで身体を確保できます。掛け替え時の「一瞬の無確保」をなくせるため、安全性を高める観点から2丁掛けが推奨されます。足場上を移動しながら作業する場面が多い現場では、2丁掛けを基本に検討するとよいでしょう。
【内部リンク:2丁掛け(ダブル)ランヤードの一覧はこちら】
ロープの形状(ロープ式/巻取り式)
ランヤードのストラップ部分の形状にも種類があります。ロープ式は伸縮しないロープで、墜落時にはランヤードの有効長さの分だけ落下します。巻取り式は、通常はストラップが巻き取られてコンパクトに保たれ、動きやすいのが特長です。
特に注目したいのが、緊急ロック機能(インターロック機能)付きの巻取り式です。急な引き出しに対してロックがかかり、墜落時の自由落下距離を最小限に抑えられます。落下距離を短くできるため、比較的低い位置での作業に推奨されます。低所でフルハーネス型を使う場合の地面到達リスクを下げる有効な選択肢です。
【内部リンク:巻取り式・ロック機能付きランヤードの一覧はこちら】
選び方②:サイズ(使用可能質量)
ランヤードと並んで重要なのがサイズ、すなわち使用可能質量です。ここを外すと、いざというときに製品が本来の性能を発揮できません。
注意すべきは、使用可能質量は「体重」ではなく、体重+装備品(腰道具・工具など)の総重量で判断するという点です。例えば体重80kgの方でも、装備を加えて85kgを超えるなら、85kg対応品は使えません。
市販の新規格フルハーネスは100〜110kg対応が多く、標準は85kgや100kg、メーカーによっては130kg・150kg対応品もあります。体重や装備が重い場合、また極端に軽い場合は、メーカーへの確認が推奨されます。
サイズ表記はメーカーによって「S〜LL」「小さめ〜大きめ」など異なります。パッケージや商品ページの適用サイズ表・体格の図を確認して選びましょう。ただし、防寒着の着用の有無や体格による個人差があるため、表記はあくまで選定の目安と考え、可能であれば試着して装着感を確かめるのが理想です。
【内部リンク:フルハーネス本体(サイズ・対応質量別)の一覧はこちら】
選び方③:ハーネスの形状・装着性
同じフルハーネスでも、腿ベルトの形状によって装着感と安全性が変わります。代表的なのがV字型と水平型です。V字型は骨盤を包み込むような構造で、宙づりになった際の安定性が高いとされます。水平型は、宙づり時にベルトがずり上がって身体を圧迫するリスクがあると指摘されます。
このほか、肩ベルトの構造(Y字型・X字型など)、着脱のしやすさ、作業を妨げないフィット感なども、長時間着用する現場では重要な選定要素です。近年は女性向けの製品も販売されており、体格に合った製品を選ぶことで、装着感と安全性の両立が図れます。毎日身につけるものだからこそ、作業性と快適さも確認して選びましょう。
買い替えは「仕様を見直す」好機
買い替えのタイミングは、同じ製品をそのまま買い直すだけでなく、現在の作業実態に合っているかを見直す絶好の機会です。次の観点で、いまの仕様が最適かを確認してみてください。
ショックアブソーバの種別は合っているか。腰より高い位置にフックを掛けられる作業だけなら第一種で十分ですが、鉄骨組立などで足元に掛ける作業が増えたのなら第二種、あるいは両方が混在するなら第二種が必要です。作業内容の変化に器具が追いついているか確認しましょう。
2丁掛けに切り替えるか。移動しながらの作業が多い現場では、掛け替え時の「一瞬の無確保」をなくせる2丁掛けの安全上のメリットが大きくなります。買い替えを機に見直す価値があります。
巻取り式・ロック機能付きに変えるか。作業スペースが狭い、比較的低い位置での作業が多いといった場合、緊急ロック機能付きの巻取り式にすることで落下距離を短縮でき、地面到達のリスクを下げられます。
サイズ・使用可能質量は今も合っているか。作業者の体格が変わったり、腰道具が重くなったりして、使用可能質量の上限に近づいていないかを確認します。
装着性・快適性を上げられないか。近年の製品は軽量化や通気性の向上が進んでおり、女性向けや体格に合わせたモデルも増えています。着け心地が良くなれば着用率も上がり、結果的に安全性の向上につながります。夏場に空調服(ファン付きウェア)を併用する現場では、ハーネス対応モデルとの組み合わせも検討するとよいでしょう。
同じ型を買い直すのが手間もなく確実ですが、「前回と同じでいいか」を一度立ち止まって考えることで、安全性と作業性の両方を底上げできます。
新規格の見分け方と買い替えの注意点
「規格変更で新しいものに買い替えて」と指示を受けたものの、どれが新規格か分からない――そんなときは表示を確認します。新規格には「墜落制止用器具」適合の表示があり、旧規格には「安全帯」と表示されています。前述のとおり旧規格品はすでに使用できないため、必ず新規格品を選んでください。
特にランヤードのショックアブソーバには、選定に不可欠な情報が表示されています。確認すべきは主に次の項目です。
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種類(フルハーネス型のものを選定)
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種別(第1種/第2種)
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製造年月
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最大自由落下距離(第1種なら1.8m、第2種なら4.0m)
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落下距離(自由落下距離+各部の伸びを加えた長さ)
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使用可能質量(着用者の体重+装備品の最大許容値)
購入時・使用前には、これらの表示が自社の作業環境・作業者に適合しているかを必ず確認しましょう。
特別教育の受講も忘れずに
器具を揃えるだけでは終わりません。**高さ2m以上の箇所で、作業床を設けることが困難な場所においてフルハーネス型を使用する作業(ロープ高所作業を除く)**に労働者を従事させる場合、事業者には特別教育を実施する義務があります(労働安全衛生法第59条第3項ほか)。
特別教育は学科4.5時間・実技1.5時間の合計6時間で構成されます。特別教育を受講させずに対象作業へ従事させると法令違反となり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となり得ます。器具の購入とあわせて、対象となる作業者の受講状況も確認しておきましょう。
点検と保管|期限まで安全に使い切るために
墜落制止用器具は「命綱」であり、買い替えの管理とあわせて、日常的な点検と適切な保管が欠かせません。
使用前点検では、ベルトの摩耗・切れ・ほつれ、金具(バックル・D環・フック)の変形・腐食・動作不良、ランヤードやロープの傷、縫製部のほつれ、ショックアブソーバに作動した跡がないかを確認します。異常があれば、年数にかかわらず使用を中止してください。
保管は、直射日光・高温多湿・化学物質を避けた場所で行います。特にベルトやランヤードは紫外線で劣化が進むため、屋外や車内に置きっぱなしにすると、期限内でも急速に劣化が進みます。使用後は汚れを落とし、ねじれや折れ曲がりがない状態で掛けて保管しましょう。保管方法次第で、期限まで安全に使えるかどうかが変わります。
点検・保守・保管は責任者を定めて確実に行い、管理台帳に点検結果や使用開始日などの必要事項を記録しておきましょう。保護具全般の点検・管理義務や記録の残し方については「保護具の点検・管理はどこまで必要?」の記事もあわせてご覧ください。
現場単位・複数名分の買い替えを計画的に
フルハーネスは、現場や班の単位でまとめて導入されることが多いため、買い替えも同じ時期に一斉に到来しがちです。「気づいたら全員分が期限超過していた」という事態を避けるには、計画的な更新が有効です。
進め方としては、まず現有器具の棚卸しから始めます。誰が・どの製品を・いつから使っているかを一覧にすると、買い替えの優先順位と必要数がはっきりします。次に、使用開始日をもとに更新計画を立てます。全数を一度に更新するとコストが集中するため、期限の近いものから段階的に切り替える方法もあります。分離型であれば、先にランヤードのみを交換して本体は翌年に、といった分散も可能です。
そして、更新後は使用開始日の記録運用をセットで定着させます。ネームタグへの記入と管理台帳への登録をルール化しておけば、次回の買い替え時期を迷わず把握できます。ここを仕組みにしておくことが、次のサイクルでの期限超過を防ぐ最も確実な方法です。
人数分・サイズ展開を含めた一括更新のお見積りや、段階的な更新プランのご相談も承ります。現場の作業内容と保有状況に合わせてご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。
【内部リンク:法人向けまとめ買い替え・お見積りのご相談はこちら】
まとめ|「買い替え時期」と「ランヤード・サイズ」を押さえる
フルハーネスの選定と管理は、要点を押さえれば難しくありません。改めて整理します。
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交換の目安は本体3年・ランヤード2年(業界団体の自主基準)。カウントは使用開始日から
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2022年の義務化に合わせて買い替えた器具は、すでに目安を超えている可能性が高い
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落下の衝撃を受けたもの、点検で不備があったものは、期限内でも即交換
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現在使用できるのは新規格(「墜落制止用器具」表示)のみ。原則フルハーネス型
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「落下距離」を理解し、「作業床の高さ > 落下距離」を満たす製品を選ぶ
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ランヤードは、基本は第一種、足元に掛ける・混在するなら第二種。安全性重視なら2丁掛け・ロック機能付き巻取り式も検討
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サイズは体重+装備の総重量で。表記はメーカーで異なるため適用表を確認
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買い替えは仕様を見直す好機。使用開始日の記録運用まで含めて仕組み化する
現有器具の棚卸しから、作業内容・体格に合わせた選定、人数分のまとめ買い替えまでご相談ください。適切な製品選びと計画的な更新を通じて、現場の安全確保をサポートします。
【内部リンク:フルハーネス・墜落制止用器具の特集ページはこちら】
よくある質問(FAQ)
Q. 胴ベルト型(安全帯)はもう使えないのですか?
A. 旧規格の胴ベルト型は使用できません。ただし新規格の胴ベルト型(一本つり)は、高さ6.75m以下(一般的な建設作業では実務上5m以下)で、フルハーネス型だと地面に到達するおそれがある場合に限り使用が認められています。6.75mを超える箇所ではフルハーネス型が必須です。
Q. 第一種と第二種、どちらのショックアブソーバを選べばよいですか?
A. フックを掛ける位置で選びます。腰より高い位置に掛ける場合は第一種、足元(腰より低い位置)に掛ける場合は第二種です。基本は第一種を使い、鉄骨組立などで足元にしか掛けられない場合や、高い位置と足元が混在する場合に第二種を選びます。第二種は落下距離が長くなる点に注意が必要です。
Q. ランヤードの2丁掛けは義務ですか?
A. 法令上の義務ではありません。ただし、フックの掛け替え時も常にどちらかで身体を確保でき、「一瞬の無確保」をなくせるため、安全性の観点から2丁掛けが推奨されます。
Q. サイズはどう選べばよいですか?体格に合うものはありますか?
A. 使用可能質量は体重ではなく「体重+装備品の総重量」で判断します。標準は85kg・100kg対応で、130kg・150kg対応品もあります。サイズ表記はメーカーで異なるため適用サイズ表を確認してください。女性向けや小さめ・大きめの製品もあり、体格に合った選定が可能です。
Q. フルハーネスの使用期限(買い替え時期)はどれくらいですか? A. 法令上の年数の定めはありませんが、業界団体(日本安全帯研究会)の自主基準では、フルハーネス本体は使用開始から3年、ランヤード・ロープ・ストラップは2年が交換の目安とされています。なお、一度でも落下・衝撃を受けたものや、点検で不備が見つかったものは、期限内でも使用しないでください。
Q. 期限のカウントは、購入日からですか?
A. 「使用開始日」からです。製造日や購入日ではなく、実際に使い始めた日を起点にカウントします。倉庫に保管していた期間は含まれません。そのため、使い始めた日をネームタグ等に記入して記録しておくことが、期限管理の前提になります。
Q. 使用開始日が分からない器具はどうすればよいですか?
A. 経過年数が確認できない場合は、安全側に立って交換することをおすすめします。使用開始日が不明ということは、期限管理ができていない状態を意味します。買い替えを機に、使用開始日を記入・記録する運用を定着させましょう。
Q. ランヤードだけ交換することはできますか?
A. ランヤードが分離型(交換可能)の製品であれば可能です。その場合、ランヤードは2年・本体は3年を目安にそれぞれ交換します。一体型の場合は、期限の短いランヤードに合わせて2年を目安に本体ごと買い替えるのが基本です。まずは自社の製品がどちらのタイプかを確認してください。
Q. 見た目に問題がなければ、期限を過ぎても使えますか?
A. おすすめできません。ベルトやランヤードは紫外線や使用によって繊維の強度が低下しており、外観からは判断できない劣化が進んでいることがあります。また、推奨される交換目安を認識しながら超過して使用させていた場合、災害時に安全配慮義務違反として事業者の責任を問われる可能性もあります。
Q. 高所作業車のバスケット内で作業する場合、特別教育は必要ですか?
A. 高所作業車のバスケット内での作業は、通常「作業床がある」と認められるため、特別教育は義務付けられません。ただし、バスケット内であっても高さ6.75mを超える箇所で作業する場合は、フルハーネス型墜落制止用器具等の使用が義務づけられます。器具の使用義務と特別教育の対象は必ずしも一致しない点に注意してください。
Q. 夏場、空調服(ファン付きウェア)と併用できますか?
A. 併用は可能ですが、着用の仕方に注意が必要です。フルハーネスのD環やランヤードの取付部が使える状態を確保することが前提になります。ハーネスに対応した(背面に開口部があるなど)空調服を選ぶか、着用順序を確認し、メーカーが推奨する組み合わせに従ってください。ハーネスと空調服がお互いの機能を妨げないよう、実際に装着して確認するのが安全です。
Q. 中古品を使ってもよいですか?
A. 墜落制止用器具は、基本的に新品を使用することが推奨されます。中古品は過去に落下や衝撃を受けている可能性があり、外見からは判断できない内部の劣化があるおそれがあるためです。命を守る器具である以上、来歴の不明な製品の使用は避けてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。数値や基準は「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」等に基づく一般的な目安であり、実際の選定・使用にあたっては各製品の表示・取扱説明書、および最新の厚生労働省の公表資料をご確認ください。個別の判断に迷う場合は、メーカーや専門家にご相談ください。
