防災庁が2026年11月発足|「事前防災」時代に企業・現場が今すぐ備えるべきこと

防災庁が2026年11月発足|「事前防災」時代に企業・現場が今すぐ備えるべきこと

2026.09.22 工事現場

2026年11月、日本の防災体制を大きく変える新しい行政機関「防災庁」が発足します。相次ぐ大規模災害を背景に、国は「事前防災」を基本方針として明確に打ち出しました。これは行政だけの話ではなく、企業や建設現場を含む、私たち一人ひとりの備えのあり方にも関わる大きな転換点です。

「国が本気で防災に取り組むなら、企業や現場も従来以上の備えを求められるのでは」——そう感じた方は、その感覚が正しいといえます。事前防災が国の基本方針になるということは、平時からの備えの重要性がこれまで以上に高まることを意味します。

この記事では、防災庁とは何か、何が変わるのかをわかりやすく整理したうえで、企業・事業所・建設現場が今すぐ取り組むべき事前防災の実務ポイントを、必要な防災用品とあわせて解説します。発足というこのタイミングを、自社の備えを見直すきっかけにしてください。

  防災庁とは?2026年11月に発足する災害対応の司令塔

防災庁は、事前の備えから災害発生時の対応、復旧・復興までを一貫して担う、内閣直属の災害対応の司令塔組織です。これまで内閣府が担ってきた防災部門を改組・拡充して設置されます。

防災庁設置法は2026年7月14日に公布され、政府は2026年11月の発足を目指しています。組織の長は内閣総理大臣で、専任の防災担当大臣が置かれます。人員は従来の約220人から約350人規模へと大幅に拡充されるとされ、国として防災に本腰を入れる体制が整えられます。


従来と決定的に違う「勧告権」


防災庁の大きな特徴が、他の府省庁に対して政策指導や助言を行う「勧告権」を持つ点です。これまでの内閣府防災は各省庁との調整役という位置づけでしたが、防災庁は司令塔として、平時から専任で備え、発災時には即座に各省庁を動かせる常設組織となります。この「常設の司令塔」という性格が、従来との決定的な違いです。


  国の基本方針は「徹底した事前防災」へ

 

防災庁の設立にあたり、政府は「防災立国の推進に向けた基本方針」を閣議決定しました。その核心にあるのが「徹底した事前防災」という考え方です。

従来の防災は、災害が起きてから対応する「事後対応」に重点が置かれがちでした。これに対し事前防災は、災害が起きる前の平時から、被害を最小限に抑えるための備えを徹底するという発想です。南海トラフ地震や首都直下地震、大型台風・豪雨といった大規模災害の切迫が指摘されるなか、「起きてから」ではなく「起きる前に」という方向へ、国の防災の軸足が移りつつあります。

この流れは、企業や現場にとって他人事ではありません。国が事前防災を掲げるということは、自治体の防災計画や各種ガイドラインを通じて、事業者に求められる備えの水準も高まっていくと考えられるからです。次章から、具体的に何を備えるべきかを見ていきましょう。

  企業・現場が今すぐ取り組むべき事前防災5つの視点

 

事前防災といっても、何から手をつければよいか迷うものです。ここでは、企業・事業所・建設現場に共通して求められる備えを、5つの視点で整理します。

 

1. 従業員を守る「防災備蓄」

 

災害発生後の3日間(72時間)は、救助・救命活動が優先される期間です。この間、むやみに移動せず施設内に留まれるよう、企業には従業員の一斉帰宅の抑制と、3日分の水・食料等の備蓄が求められています(東京都帰宅困難者対策条例など)。

備蓄の目安は、水が1人1日3リットル(3日分で9リットル)、主食が1人1日3食(3日分で9食)、そのほか毛布・保温シート・簡易トイレ・衛生用品などです。来客や取引先など外部の帰宅困難者に備え、1割程度多めに用意しておくと安心です。長期保存できる非常食や保存水を選び、古いものから使って補充する「ローリングストック」で鮮度を保ちましょう。

 

2. 見落とされがちな「トイレ・衛生対策」

 

水や食料に比べて後回しにされがちなのが、トイレの備えです。断水や停電で水洗トイレが使えなくなると、衛生環境が急速に悪化し、健康被害にもつながります。簡易トイレ・携帯トイレは、従業員数と3日分を目安に、必要な回数分を確保しておくことが重要です。あわせて、トイレットペーパーや消毒液、ウェットティッシュなどの衛生用品も備えておきましょう。

 

3. 停電に備える「照明・電源・情報」

 

停電時に事業所の機能を保つには、照明・電源・情報収集手段の確保が欠かせません。広範囲を照らせる非常用ライトやランタン、スマートフォンを充電できる予備バッテリー(乾電池式・ソーラー・手回しなど複数種)、信頼できる情報を得る携帯ラジオを備えます。避難誘導や安否確認の呼びかけには、拡声器(メガホン)も役立ちます。

建設現場では、夜間・停電時の視認性を確保する工事灯や、電源不要のソーラー式照明が、二次災害の防止に有効です。

  

4. 建物・資材を守る「浸水・飛散対策」

 

 

台風・豪雨による浸水や、強風による飛散・破損への備えも事前防災の要です。出入口の浸水対策には土のうや吸水性土のうを、屋根・外壁や資材の養生にはブルーシートを、あらかじめ必要数を備蓄しておきます。いずれも、水や風が迫ってから調達しようとすると品薄で入手できないことがあるため、シーズン前の準備が肝心です。

屋外に保管する資材や設備は、飛散・転倒を防ぐ固定・養生の方法を平時に決めておき、台風接近時にすぐ実行できるようにしておきましょう。

  

 

5. 初動を支える「救助・救護用品」

 

 

建物の損壊や閉じ込めが起きたとき、外部の救助が来るまでの初動を支えるのが、事業所に備えた救助・救護用品です。バール・レンチ・ハンマー・ノコギリといった救助工具や、消毒液・包帯・三角巾などをそろえた救急セット、負傷者搬送用の担架などを備えておきます。あわせて、これらの保管場所と使い方を従業員に周知しておくことが、いざというときの実効性を高めます。

 

 

  備蓄だけでは足りない|BCPと「使える備え」への視点

 

事前防災は、モノを備えるだけでは完結しません。備えたものが「いざというときに使える」状態であること、そして事業を止めない・早期復旧するための計画(BCP:事業継続計画)とセットで考えることが重要です。

具体的には、備蓄品を誰もがすぐ取り出せる場所に分散して保管する、定期的に点検・補充して賞味期限切れや故障を防ぐ、避難経路や連絡体制・安否確認の方法を明確にした防災マニュアルを整備する、といった取り組みです。発災直後は電話がつながりにくくなるため、複数の連絡手段を事前に確保しておくことも大切です。

防災庁の発足と事前防災シフトは、こうした「使える備え」を社内で見直す絶好の機会です。備蓄リストの棚卸しから始め、不足や期限切れを補い、保管場所と使い方を全員で共有しておきましょう。

 

  まとめ|防災庁発足を「自社の備えを見直す起点」に

 

防災庁発足と事前防災時代のポイントを、あらためて整理します。

  • 防災庁は2026年11月発足予定。内閣直属で勧告権を持つ、常設の災害対応司令塔

  • 国の基本方針は「徹底した事前防災」。平時からの備えの重要性がいっそう高まる

  • 企業・現場は、備蓄・トイレ・停電対策・浸水飛散対策・救助救護の5視点で備える

  • 3日分(72時間)の水・食料・トイレを、従業員数+外部者分を見込んで確保

  • 備蓄は分散保管・定期点検・ローリングストックで「使える状態」を保つ

  • モノの備えとBCP・防災マニュアルをセットで整えることが実効性を高める

 

防災庁の発足は、国を挙げた事前防災シフトの号砲です。「国が本気になる前に動き出す」ことが、従業員と事業を守る最善の備えになります。この機会に、自社・自現場の備えを一度棚卸しし、不足を補っておきましょう。

グリーンクロスでは、防災備蓄品・非常食から、簡易トイレ、非常用ライト、土のう・ブルーシートなどの浸水・飛散対策用品、救助・救護用品まで、企業・現場の事前防災に必要な用品を幅広く取り揃えています。事業所の規模や人員に応じた備蓄プランのご相談、複数拠点分の調達についても、お気軽にお問い合わせください。

 

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  よくある質問(FAQ)

 

Q. 防災庁はいつ発足しますか?

 

A. 政府は2026年11月の発足を目指しています。防災庁設置法は2026年7月14日に公布されました。なお、スケジュールは前後する可能性もあるため、最新の正確な情報は内閣府・防災庁の公式情報でご確認ください。

 

Q. 防災庁と消防庁・気象庁は何が違うのですか?

 

A. 消防庁は消火・救急・救助、気象庁は気象や地震・津波の観測・予報を担う実働・専門組織です。これに対し防災庁は、事前の備えから発災時対応、復旧・復興までを一貫して束ねる「司令塔」で、内閣直属として他府省庁への勧告権を持つ点が特徴です。

 

Q. 防災庁の発足で、企業の義務は増えますか?

 

A. 防災庁の発足自体が直ちに新たな義務を課すものではありませんが、国が「事前防災」を基本方針に掲げたことで、自治体の計画や各種ガイドラインを通じて、事業者に求められる備えの水準は高まっていくと考えられます。従業員の安全配慮義務の観点からも、平時からの備えを見直しておくことが重要です。

 

Q. 企業の防災備蓄はどれくらい用意すればよいですか?

 

A. 発災後3日間(72時間)を施設内で過ごせる量が目安です。水は1人1日3リットル(3日分で9リットル)、主食は1人1日3食(3日分で9食)、そのほか毛布・簡易トイレ・衛生用品などを従業員数分そろえます。来客や取引先など外部の帰宅困難者に備え、1割程度多めに用意すると安心です。

 

Q. 事前防災として、まず何から始めればよいですか?

 

A. まずは現状の備蓄品の棚卸しです。水・食料・トイレ・照明・電源・救急用品などが従業員数に対して足りているか、期限切れや故障がないかを確認します。そのうえで不足を補い、保管場所と使い方を全員で共有し、防災マニュアルや連絡体制を整えると、無理なく進められます。

 

Q. 建設現場ならではの事前防災のポイントはありますか?

 

A. 屋外の資材・仮設物の飛散・転倒防止(固定・養生の手順化)、出入口や低所の浸水対策(土のう・吸水性土のうの備蓄)、夜間・停電時の視認性確保(工事灯・ソーラー照明)が特に重要です。台風接近時にすぐ動けるよう、平時に手順と資材を準備しておきましょう。

 

Q. 備蓄品の賞味期限や劣化はどう管理すればよいですか?

 

A. 古いものから使って新しいものを補充する「ローリングストック」が有効です。定期的に点検日を決めて、賞味期限・電池・機器の動作を確認し、期限が近いものは日常業務や訓練で消費して入れ替えます。すぐ取り出せる場所への分散保管とあわせて、常に「使える状態」を保ちましょう。

 

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。防災庁の発足時期・組織・権限に関する記述は、2026年時点で公表されている法令・報道に基づく一般的な内容であり、今後変更される可能性があります。備蓄量の目安は東京都帰宅困難者対策条例・ハンドブック等を参考にした一般的なものです。最新かつ正確な情報は、内閣府・防災庁および各自治体の公式情報をご確認ください。

 

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