【熱中症対策義務化】製造業の企業がとるべき具体的な対応は?

【熱中症対策義務化】製造業の企業がとるべき具体的な対応は?

2025.05.22 工事現場

工場

 

2025年の法改正により、熱中症対策が「企業の義務」となりました。「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」をすることが求められています。このブログではまず対応を講じる必要がある作業環境や作業内容をご説明し、その上で製造業の企業が具体的にどのような対応を取ればよいのかを順を追って解説していきます。

 

熱中症対策が義務化される作業条件

熱中症対策の実施が求められるのは、以下のような環境と作業条件に該当する場合です。

 

POINT!
「WBGT値28℃以上」または「気温31℃以上」 の環境下で、
「連続1時間以上」または「1日4時間を超える作業」 が見込まれるとき

 

この条件に当てはまる作業場や工場内の作業ラインでは、企業は熱中症対策を講じることが義務付けられています。製造現場の場合、屋内でも高温環境となることがあるため、夏場はほぼ当てはまる条件かと思います。できるだけ早く義務化された対策を実施していきましょう。

 

企業へ義務化される熱中症対策

さて、6月から熱中症での死傷者数を減らすため企業には 「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付けられ、未実施の場合は罰則の対象となります。ポイントは、現場での早期発見と迅速な対応です。

 

義務化された熱中症対策まとめ


①「体制整備」での具体的な対策例

まずは、熱中症のリスクを早期にキャッチする体制の構築が不可欠です。企業に義務付けられる内容は、以下の通りです。

 

義務化された熱中症対策の内容

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf

 

【具体的にやるべきこと】
作業場所や製造エリア毎に監督者や衛生管理者などの担当者を決め、体調不良者が出た時にどのように担当者に報告をするのかを決めておきましょう。

 

【努めるべき対策内容】
・製造フロアや作業ラインでの見回り
・バディ制やグループ制の導入による相互確認
・ウェアラブルデバイスやアラート付き体温計による従業員の体調確認

 

POINT!
熱中症患者の発見の遅れを発生させないために受け身の報告体制だけでなく、「こちらから気づく」積極的把握体制の構築に努めましょう

 

 

②具体的な「手順作成」

実際に熱中症が疑われる従業員がでた場合の対応フローを作成しましょう。企業に義務付けられる内容は、以下の通りです。

 

義務化された熱中症対策の内容

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf

 

【具体的にやるべきこと】
・作業班や製造ライン毎に、作業員が熱中症になってしまった場合、またその可能性がある場合に誰にどのような順番で報告をするのかを記載した連絡網を作成しましょう
・工場近隣の緊急半搬送先の連絡先・所在地をあらかじめ調べ明記しておきましょう
・熱中症の可能性がある従業員を発見した際のフローを分かりやすくまとめておきましょう。対応手順においては以下を参考に、ご自身の工場に合ったオリジナルのものを作成してください。

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf

 

POINT!
フロー作成の際は、症状一覧や判断の目安も明記しておくことで、混乱せず対応できます。一度体調不良を訴えた作業者は一人にせず、経過観察を行いましょう。

 

③「関係者への周知」も忘れずに!

作業エリア毎の熱中症対策担当者、緊急連絡網、対応フローが決定次第、全従業員関係者に周知をしましょう。

 

【具体的にやるべきこと】
・食堂や休憩所、工場の出入口付近など目に付きやすい場所に掲示
・メールなどでリマインド
・朝礼や安全衛生ミーティングでの口頭伝達

 

POINT!
協力会社のスタッフや派遣社員も対象となります。製造現場の全員に情報が届くようにしましょう。

 

WBGT基準値とは?

ここまで企業に義務化された熱中症対策についてご説明をいたしました。ここからは対策が義務化されている作業環境の指標の1つとされているWBGTについて解説します。熱中症対策では「WBGT値(暑さ指数)」が基準となります。WBGT(暑さ指数)とは、気温・湿度・輻射熱などを考慮して暑熱環境による熱ストレスの強さを数値で評価する指標です。

 

POINT!
WBGT基準値は
・日本産業規格 JIS Z 8504 を基に作業現場で測定
・測定できない場合は、環境省の「熱中症予防情報サイト」等で確認

WBGT値は温度計とは異なり、熱中症のリスクをより正確に反映する指標です。

 

WBGT基準値の活用方法

WBGT身体作業強度レベルについて

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf

 

作業の「身体作業強度(代謝率レベル)」に応じたWBGT基準値と比較し、基準値を超えた場合には、次のような対策を講じる必要があります。

 

・作業場所のWBGT値を下げる(冷房・日除け設置など)
・作業内容を低強度なものに変更
・より涼しい場所へ作業を移す

 

WBGT値を超えてしまう場合のおすすめ対策

製造現場では、機械の熱や空調の届きにくさから、WBGT値が上昇しやすいのが実情です。以下のような対策で、リスクの低減を図りましょう。

 

【従業員向け対策】


・従業員が高温環境に体を慣らす「暑熱順化」期間を設ける
・空調服の着用(ファン付きウェア)
・アイスベストや冷却タオルの装着
・飲みやすい位置に塩分タブレットやスポーツドリンクを常備
・腕に装着するタイプのウェアラブルデバイスを配布(体調異変を通知)

 

【作業環境向け対策】


・扇風機やスポットクーラーによる換気強化
・冷房設備の増設や改善(スポットクーラー、排熱対策)
・WBGT値モニターの設置で数値を“見える化”し、注意喚起
・作業の時短・交代制の導入(特にピーク時間帯)

 

【従業員の健康管理の実施】
・持病がある作業者に対し特別な配慮や軽作業への切り替えを行う
・睡眠不足や二日酔いなど日常の体調管理の指導
・バイタルチェックなどで毎日の健康状態確認
・身体状況の確認

 

POINT!
作業中に「今、どの程度危険な環境にいるのか」が作業員全員に“見える”ようにすることで、予防の意識が高まります。

 

【企業全体で熱中症についての知識を持つ】

高温環境での作業前には、以下のような労働衛生教育を行い、従業員の意識と知識の向上を図りましょう。

(1) 熱中症の症状(初期症状から重篤化の兆候まで)
(2) 予防方法(水分補給、服装、作業時間の調整など)
(3) 緊急時の応急処置(冷却措置、意識確認、119番通報のタイミング)
(4) 過去の熱中症発症事例(注意喚起と改善ポイントの共有)

 

製造業こそ、熱中症対策を「企業全体」で進めましょう!

今回は主に企業がすべき義務化された熱中症対策をご紹介しました。改めて以下に記載しておきます。

  • ✔ 熱中症対策の担当者を決めて連絡体制を構築
    ✔ 緊急時のフロー・連絡網・搬送先を明確にしておく
    ✔ 全従業員と関係者に対応手順をしっかり周知

義務化された内容は、熱中症のおそれがある従業員が出てしまった場合の対応やその準備についてのものです。製造現場は、日射がない屋内であっても高温環境になりやすく、従業員が熱中症に陥るリスクが高い職場のひとつです。今回の法改正により、「体制整備」「手順の作成」「周知」が義務付けられた今こそ、企業としての体制強化が求められています。改めて熱中症対策マニュアルの確認や対策グッズの確認をしておきましょう!


厚生労働省熱中症ガイド:https://neccyusho.mhlw.go.jp/download/

職場における熱中症予防情報:https://neccyusho.mhlw.go.jp/

グリーンクロスの熱中症対策グッズ:

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