今年の夏から熱中症対策が義務化されます
2025年6月から、企業における熱中症対策が「罰則付き」で義務化されることが決まりました。これまでの「できるだけ対策をしてください」という努力義務から、「しなければならない」という法律上の義務へと大きく変わります。
背景には、暑さの厳しさが年々増すなかで、現場での熱中症による事故や死亡災害が後を絶たないという深刻な実態があります。では、なぜ今、義務化なのか?そして、どのようなルールが新たに求められるのか?
この記事では、法改正の背景から具体的な法律の内容、現場で役立つ熱中症対策グッズまで、現場に役立つ情報をわかりやすく解説していきます。
なぜ今、熱中症対策が企業に義務化されるのか?
これまでも国は企業に対して熱中症対策の必要性を繰り返し呼びかけてきました。例えば以下のような取り組みが行われてきました。
・労働安全衛生法に基づく「熱中症対策を行うべき」との規定
・水分・塩分の補給の推奨(あくまで努力義務)
・「STOP!熱中症」キャンペーンによる啓発活動(強制力なし)
こうした取り組みによって企業側の意識は高まりつつありましたが、それでも現場では重症化や死亡に至るケースが後を絶ちませんでした。これを受けて、2025年6月から、熱中症対策がついに「罰則付き」で義務化されることになったのです。
気温の上昇と熱中症の増加
近年、日本では記録的な猛暑が続いており、2023年には東京で日最高気温が30℃以上の日数が90日と、観測史上最多を記録しました。 また、全国的に35℃以上の猛暑日も増加傾向にあり、1910年から2023年の間に、猛暑日の年間日数は約2.3日/100年の割合で増加しています。
このような気温の上昇に伴い、熱中症による労働災害も深刻化しています。 特に2022年以降、熱中症による死亡者数は年間30人を超える状況が続いており、その多くが屋外作業中に発生しています。
さらに注目すべきは、熱中症による死亡災害の致死率の高さです。 他の労働災害に比べて5~6倍もの割合で死亡に至るとされており、対応を誤ると命に関わる重大なリスクとなります。
また、死傷者数が多い業種は建設業や製造業であり、現場での対策の強化が急務となっています。
2013年~2022年累計職場で熱中症になった人(死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数)
出典:厚生労働省 熱中症ガイド
熱中症の重症化は「初期症状の見逃し」が大きな原因
出典:厚生労働省 熱中症ガイド
熱中症は、初期段階での対応がカギになります。しかし実際には、「なんとなく体調が悪そう」「少し休めば大丈夫」と見過ごされ、重篤化してから気づくケースが後を絶ちません。
厚生労働省の調査でも、重症化・死亡に至った多くのケースが、
・発見の遅れ(異常に気づかず、重症化した状態で初めて対応)
・対応の不備(医療機関への搬送が行われなかった等)
といった初動ミスによるものであることが明らかになっています。
こうした背景から、これまでは「努力義務」に留まっていた対策も、今後は明確なルールと罰則を伴って義務化されることとなりました。
企業には、
・「熱中症の兆候がある人をどう助けるか」
・「異常が見られた場合にどう行動するか」
といった具体的な対応フローの整備と、従業員への徹底した周知が求められるようになります。
2025年6月施行!新しく義務化された熱中症対策は?
深刻化する熱中症による労働災害に対応するため、2025年6月1日より、企業に対して罰則付きの熱中症対策が義務化されます。では、実際にどのような作業環境が対象となり、どのような対策が求められるのでしょうか?ここでは、企業が押さえるべき新ルールのポイントを分かりやすく解説します。
対象となる作業環境
以下のいずれかに該当する作業が「対策義務の対象」となります。
暑さ指数(WBGT)28以上または気温31℃以上の環境で、
連続1時間以上、または1日4時間を超えて作業する場合
こうした環境下での作業は、特に熱中症リスクが高く、業種では建設業、製造業、運送業、農林業などが該当するケースが多いとされています。また、作業強度・服装・通気性の悪い場所なども熱中症リスクを高める要素となるため、数値だけでなく作業実態に応じたリスク評価が重要です。
企業が義務化される対策
企業に求められる主な対策は、以下の3点です。
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① 報告体制の整備 ・熱中症の疑いがある場合にすぐに報告できる体制の構築
・緊急時の連絡先や担当者の明確化
・現場での体調チェックや巡回、バディ制の導入、ウェアラブルデバイスの活用なども推奨されています
② 実施手順の策定・熱中症の疑いがある場合に備え、以下のような対処フローを事前に明文化し、共有することが求められます。
・作業の一時中断
・体を冷やす処置(冷却・休憩所の利用など)
・必要に応じて医療機関へ搬送③ 関係者への周知
上記①②の内容を、すべての作業者に事前に周知することが義務づけられます。普段から朝礼や掲示、教育資料などを通じて情報を共有し、誰もがすぐに動ける状態を保ちましょう。自社社員だけでなく、協力会社の作業者にも周知対象が及ぶ点に注意が必要です
違反した場合の罰則
企業が上記の義務を怠った場合、以下の罰則が科される可能性があります:
・6ヶ月以下の懲役
・50万円以下の罰金
罰則の対象は法人だけでなく、事業所の代表者や管理責任者も含まれる可能性があるため注意が必要です。さらに、重大な事故が発生した場合には、社会的信用の低下や労働監督署からの指導など、企業活動に大きな影響を与えるおそれもあります。
このように、今回の法改正では「事前の備え」「異常の早期発見」「迅速な対応」が重視されています。次章では、実際の現場で使える熱中症対策グッズをご紹介します!
現場で役立つ!熱中症対策商品のご紹介
個人の熱中症予防に効果的なウェアラブルデバイス
猛暑のリスクを「リアルタイム」で通知する、軽量ウェアラブルセンサー!
「熱中対策アラート ハートウォッチ」は、深部体温の上昇を15秒ごとにチェックし、色・音・振動の3つのアラートで熱中症の危険を事前に知らせるウェアラブルデバイスです。過酷な現場でも信頼できる耐熱・耐振性能(JIS B7001準拠)を備えています。
温度に応じて色が変わる視覚的アラートも搭載しており、体調の微細な変化にもいち早く気付けるのがポイント。ボタンを押せばその場で測定することも可能で、日々の体調管理に役立つパートナーとして活躍します。
・熱中対策ウォッチ CNRIA(カナリア)Plus(2025)
業界シェアNo.1!使い切りタイプの熱中症予防ウェアラブルデバイス
「熱中対策ウォッチ CNRIA Plus(2025)」は、深部体温の上昇をリアルタイムで検知し、作業者一人ひとりの熱中症リスクを「見える化」する使い切りタイプのウェアラブルデバイスです。医療現場でも用いられる「双熱流法」を応用し、1万人以上のバイタルデータに基づく高精度アルゴリズムを搭載。現場での実用性と信頼性を両立しています。
電源を入れて手首に装着するだけのシンプル設計で、約5カ月間の連続使用が可能。アラーム(音・光・振動)で熱中症リスクを即座に通知します。NETIS登録商品(KT-2001221-VE)で、多くの企業が「熱中症ゼロ」を実現した実績あり!建設現場や製造現場など、あらゆる作業環境で活躍します。
現場全体の意識を高める熱中症注意標識や看板
現場の安全を守る!屋外対応の熱中症アラートアイテム
「熱中症注意計コーン(黒球付熱中症指数計付)」は、黒球付の熱中症指数計と専用コーンが一体化した、現場設置に便利なスタンド型の注意喚起ツールです。黒球式のセンサーを搭載しており、直射日光や輻射熱の影響も含めたWBGT値を正確に測定可能。屋内外問わず設置でき、作業現場やイベント会場など、暑さ対策が必要な場所に最適です。
熱中症予防指針に基づき、危険度を4区分・12段階で表示。さらに、状況に応じた警告アラームで作業者に注意喚起します。防塵・防水仕様(IP65)なので、突然の雨でも安心して使用できるのも大きな特長です。
狭い現場、室内作業場に最適!熱中症についての情報が一目でわかる標識
熱中症についての症状と措置が一目でわかる温湿度付標識です。防雨型ですので屋外でも使用できます。縦600mmx横300mmのコンパクトなサイズのものなので、狭い場所でも気軽に設置ができます。
視覚で伝える熱中症対策!現場の「気づき」を促す情報看板
「黒球付熱中症計 予防情報看板セット」は、リアルタイムの暑さ指数(WBGT値)を見える化し、作業員や利用者に熱中症リスクを視覚的にわかりやすく伝えるためのアイテムです。付属の黒球付熱中症計で、気温・湿度・WBGT値を正確に測定し、「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」の4段階で警戒レベルを表示。看板は視認性が高く、遠くからでも一目で判断できる設計になっています。
建設現場、学校、公共施設、イベント会場など、あらゆる屋外・屋内現場の注意喚起と熱中症対策に最適です。
音声で注意喚起ができるTALKUNセットもおすすめ!
音声で“その場”に注意喚起!人感センサー式録音再生機「TALKUN(トークン)」
「TALKUN(トークン)」は、人が近づいたときに自動で音声メッセージを再生する、人感センサー付きの録音再生機です。赤外線センサーが最大4m・水平垂直70度の範囲を感知し、ライトとともに登録された音声でその場にいる人に直接注意喚起を行います。
録音方法も多彩で、内蔵マイクでの録音(最大120秒)のほか、ライン入力やmicroSDカードにも対応。既存のメッセージ音声データもダウンロードでき、現場や状況に合わせて自由にカスタマイズできます。
また、背面にはマグネット付きなので、看板や金属面に工具なしで簡単に設置可能。電源を入れて取り付けるだけで、すぐに使い始められるのも大きなポイントです。
そんなTALKUNが付属されたセット商品をご紹介いたします!
・黒球付熱中症計予防情報看板セット TALKUN付 トークン付
リアルタイムで暑さ指数WBGT値を表示するデジタル熱中症計と、視認性の高いイラスト入り看板に、音声で注意喚起ができるTALKUNをプラスしたセット商品です。大きな看板で視覚的にしっかり伝えるだけでなく、TALKUNの音声アラートにより「耳からも」熱中症への注意を促すことができ、ダブルのアプローチで現場の安全意識を高めます。
作業着を快適にする衣類品
現場の熱中対策に!機能性と快適性を兼ね備えた空調服
衣服内の空気漏れを防ぐマイクロシェル素材を使用し、アルミコーティングにより-8℃の遮熱効果とUVカット性能を実現。背面には保冷剤を入れられる通気エアダクトポケットを装備しており、冷却効果をさらに強化できます。さらに、Dカンやランヤード装着ホールを備えたフルハーネス対応設計で、高所作業にも最適。ヘルメットに対応した大型フードは、使用シーンに応じて着脱可能です。
汗を味方に変える、革新的なクーリングTシャツ
Columbia(コロンビア)ワイルドスプリングTシャツは、汗に反応して冷却効果を発揮する業界初のテクノロジーTシャツです。生地に施された無数のブルーサークルが、体から出る水分(汗)に反応し、熱を冷気に変えて体温をクールダウン。最先端の冷却テクノロジー「OMNI-FREEZE ZERO」によって、着ているだけで持続的な冷却効果が得られます。
気温の高い環境でも、ドライで快適な着心地をキープ。現場作業はもちろん、アウトドアやレジャーでも活躍する一着です。
食品や飲料で体の中から熱中症対策
塩分・水分補給を手軽に!熱中症対策の定番アイテム
熱中飴 ミックスBOXは、グリーンクロスオリジナルの詰め合わせタイプ。現場やオフィスなど、どこでも置きやすいBOX型パッケージで、みんなでシェアしやすいのが魅力です。暑い環境下では「水分+塩分」の同時補給がポイント。熱中飴はその両方を効率よく補給できるため、熱中症対策にぴったりなアイテムです。さらに、他の対策グッズと比べて手に取りやすい価格帯も人気の理由。コストを抑えながら、日常的な備えとして活用できます。
・熱中症対策 飲む氷Salty Lemonアイススラリー 80袋セット
体の中からクールダウン!「飲む氷」で新しい熱中症対策を
飲む氷 Salty Lemon アイススラリーは、プレクーリング(運動や作業前の体温コントロール)に最適な新感覚の熱中症対策アイテム。細かな氷粒が液状に分散した「アイススラリー」だから、ガチガチに凍らず、なめらか&爽やかな口当たりで飲みやすさ抜群です。
使い方も簡単!
冷凍庫で4時間以上凍らせて、やわらかくなるまで揉んで飲むだけ。活動前・休憩中の体温リセットにおすすめです。
塩分も補給できる「Salty Lemon」フレーバーで、味もさっぱり。80袋の大容量セットなので、現場での配布にも便利です。
基本の熱中症対策をおさらい
熱中症対策は「義務」になるからやるものではなく、大切な命を守るために欠かせない対策です。ここでは、あらためて「初期症状の見分け方」や「応急処置の手順」をおさらいしましょう。
熱中症の初期症状とは?
出典:厚生労働省 熱中症ガイド
作業中、次のような症状が見られたら要注意。「おかしいな?」と感じたら、すぐに作業を中断することが鉄則です!
・めまい、立ちくらみ
・吐き気、食欲不振
・ぼんやりする、反応が鈍い
・筋肉のけいれん、足がつる
・頭痛、だるさ、意識がもうろうとする
特に自分では気づきにくいこともあるため、仲間同士の声かけや観察が重要です。
応急処置の手順
出典:厚生労働省 熱中症ガイド
異変に気づいたら、スピードが命! 以下の手順で迅速に対応しましょう。
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【STEP 1】 すぐに作業を中断し、涼しい場所へ避難
日陰やエアコンの効いた休憩所へ。
服をゆるめて、体から熱を逃がしやすくします。【STEP 2】 体を冷やす
首、脇の下、足の付け根などを重点的に冷却。
保冷剤・氷・冷たいタオルなどを活用します。【STEP 3】 水分と塩分を補給
経口補水液やスポーツドリンクなどで少しずつ補給しましょう。
※意識がはっきりしない場合は無理に飲ませず、次のステップへ。【STEP 4】 意識障害・嘔吐・重度の症状があれば、迷わず救急要請!
「ちょっと様子を見る」ではなく、すぐ119番に連絡しましょう。
救急車到着まで、冷却・安静を続けます。
現場では「ちょっとの無理」が大きな事故につながることもあります。
「いつもの体調じゃないかも」と感じたら、遠慮せずすぐに声をあげる勇気が大切です!また辛そうな同僚や上司部下がいた場合もすぐに声掛けをし、応急処置を行うことで重症化を防ぐことができます。
法律上の義務化をきっかけに、現場の熱中症対策を見直しましょう!
2025年6月から、熱中症対策は「努力義務」から「義務化」へと大きく変わります。命に関わるリスクを減らすためにも、今こそ現場の環境や備品を見直すチャンスです。最適な対策グッズを取り入れて、暑さに負けない、安全で快適な作業環境を整えましょう!
厚生労働省 関連資料
「職場における熱中症対策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf
「中小企業の事業主、安全・衛⽣管理担当者・現場作業者向け
働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」
https://neccyusho.mhlw.go.jp/download/
「クールワークキャンペーン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html